はじめに
このブログでは、これからマーケティングを学ぼうという初学者、マーケティングの仕事に配属されたばかりの人、営業職からマーケティング職にキャリアチェンジしたい人などを対象に、マーケティングのキホンを解説します
内容は、ワタシが研修講師として講義した内容に準じたものです
実践的なマーケティングのエッセンスを、わかりやすく体系的に学べるように構成しています。
さて、20年くらい前(2000年代初頭)の日本企業において「マーケティング職」は現在ほど確立されていませんでした
当時、多くの企業では、マーケティング部自体ない会社が多く、広告や市場調査的な認識で捉えられることが多かったのです
この背景には、日本企業が強固な流通網を持ち、リレーション重視の営業活動を重視する商習慣があったことが挙げられます
また、広告宣伝活動(本質的にはマーケティングの一機能ですが)は大手広告代理店に任せていて、企業自らがマーケティングを主体的に行うケースはさほど多くありませんでした
その当時のマーケティング職の求人といえば、P&Gやネスレといった外資系の消費財メーカー、シャネルやルイ・ヴィトンなどのラグジュアリーブランド企業に限られていたものです
それが現在では、日本企業も様々な業種でマーケティング部が設置され、マーケティングの求人も数多くあります
現在、デジタルマーケティングは実務の中心で、Google広告の運用、SEO、SNSマーケティング、Google Analytics、MA(マーケティングオートメーション)ツールの運用といった実務やスキルが求められているのも事実です。
ただし、これらはマーケティング全体の「枝葉」にあたる部分なので、マーケティングの全体像を理解することが不可欠です
マーケティングの重要性
ピーター・ドラッカーはマーケティングを「企業の第一の機能」として定義し、マーケティングとは経営全体のことであり、全事業にかかわる活動であると説きました
これは、マーケティングが単なる販促活動ではなく、企業の存続と成長に直結する戦略的活動であることを示しています
企業が成り立つためには、顧客に商品・サービスを購入していただかなければなりません
そのため、顧客の選定、商品・サービスの開発、価格設定、販売促進、リピート顧客の獲得といった一連の活動がマーケティングの根幹をなします
本記事では、部門を問わず、マーケティングの知識をビジネスの共通言語として身につけることを目的とし、デジタル時代に適した最新のマーケティング手法をキャッチアップできるようにします
特に、現代マーケティングの権威として知られるフィリップ・コトラー教授が提唱したマーケティング1.0から最新の5.0までのエッセンスを取り上げ、マーケティングの全体像を把握できるようにします
マーケティングとは?
マーケティングにはさまざまな定義がありますが、日本マーケティング協会(1990年)の定義を例に挙げると、「マーケティングとは、企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客の相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動」とされています
定義となると、表現が難しく、やや抽象的に感じるかもしれません
ワタシは、「マーケティングとは売れる仕組みを作ること」と捉えています
単に広告を出稿したり、SEO対策を行うことがマーケティングではありません
継続的に成果が出るように、市場調査、商品開発、価格設定、販売戦略、プロモーションを組み合わせ、システムとして構築することがマーケティングの本質です
マーケティングの始まり
マーケティングの起源としてよく挙げられるのが、1908年のフォード社によるT型フォードの大量生産です
この時、
- チャネル戦略(流通網の構築)
- プロモーション(広告・宣伝活動)
- 市場調査(需要予測)
が組み合わさり、T型フォードは大ヒットしました。これが、近代マーケティングの始まりとされています
日本におけるマーケティングの導入はさらに遅れ、1955年頃にようやく本格的に取り入れられるようになりました
マーケティングの変遷
マーケティングの概念は時代とともに進化し、現在ではマーケティング1.0から5.0までのフレームワークが提唱されています

出所:https://marketengu.com/marketing5/
- マーケティング1.0・・・製品中心のマーケティング
産業革命後の時代で、企業は大量生産によって市場をリードします
企業主導で「良い製品を作れば売れる」という考え方が主流でした
- マーケティング2.0・・・顧客中心のマーケティング
競争が激化し、顧客のニーズに応じた商品開発が求められるようになりました
「STP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)」の概念が普及しました
- マーケティング3.0・・・人間中心のマーケティング
企業は「価値観」や「ブランドのストーリー」を重視するようになりました
また、CSR(企業の社会的責任)やエモーショナルマーケティングが台頭しました
- マーケティング4.0・・・デジタル中心のマーケティング
インターネット、SNS、ビッグデータを活用したマーケティングが主流になりました
カスタマージャーニーを設計し、顧客体験(CX)を最適化する戦略が重要となりました
- マーケティング5.0・・・最新テクノロジーと人を融合したマーケティング
AI、IoT、VR、ブロックチェーンなどのテクノロジーを活用するマーケティング
パーソナライズマーケティングやマーケティングオートメーションが進化しました
このあとの記事で、マーケティングの変遷をマーケティング1.0から5.0まで順に、具体的に解説していきます
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