最近のTVコマーシャルでは、転職系のものが結構流れていますね
リクルートエージェント、マイナビ、ビズリーチなど
10年、20年前に比べると転職はかなり一般的になってきているように思います
転職先を見つける手段として、全体で見ると、求人メディア/広告、縁故、ハローワーク(職安)がまだまだ主なのですが、近年では転職エージェント(職業紹介)を利用する人も増えています
厚生労働省の統計によると、年間50万人近くで、ここ10年間で3倍くらいになっています

転職エージェントは、求人企業と求職者との間に立ち、適切なマッチングを支援する役割を担っています
ですが、転職エージェントとの付き合い方次第で、転職活動の成果が変わることもあります
本記事では、私自身の転職者として、転職エージェントとして、企業の採用責任者としての三つの経験を踏まえて、転職エージェントとの付き合い方ついて書こうと思います
転職エージェントとより良く付き合うために

1.自分にとっての転職難易度を知る
まず転職エージェントに登録してみましょう。動いてみることによって分かることって多いです
登録後、実際に数多くの求人紹介があるのか。そこそこ求人紹介があるのか。あるいはさっぱり紹介がないのか。
それなりに求人紹介があるなら、担当コンサルタントとのコミュニケーションが発生します
転職エージェントとの付き合い方としては、できるだけ本音や悩みを率直に話すのが良いと思います
その会話内容や置かれている状況を、そのとおり求人企業に話してしまうコンサルタントはいませんので、自分で壁を作ってしまったり、カッコつけたりするのはよくないです
たいていは寄り添ってくれます
もし、求人紹介がさっぱりないとなれば、転職エージェントとの付き合いより前に、自分の資質や経歴から強みとなるものを明らかにし、それを言語化することを先にしないといけません。
誰しも強みとなるものがあるので、それを明確に伝えられるようになると、エージェントの対応が変わってきます。具体的には、求人の紹介が増えてきます
2.希望や重視する要件を明確に伝える
それぞれのコンサルタントは皆忙しいです
対応する候補者もたくさんいます
そうした状況なので、自分の希望する業界や職種、転職にあたり何を重視するか、やりたいこと、強みなどを明確にして伝えておく必要があります
そうすることでより自分に合った求人を紹介してもらいやすくなります
逆に言うと、これをしないとミスマッチな求人を紹介されることが増えてしまいます
応募する気にならない求人ばかり送ってくるというのは、エージェントが悪いというよりもこちら側の問題のこともあるので、ここは改善点です。
3.自分に合ったエージェントを利用する
ひとえに転職エージェントといってもたくさんあります。得意分野や強みも異なります
総合型の大手もあれば、業界特化型、職種特化型、若手特化型、ミドル特化型、経営幹部特化型、外資特化型、女性特化型など、領域や対象者を絞った転職エージェントもあります。
その中から、自分に合った転職エージェントを選んだり、あるいは複数のエージェントを利用するようにしたほうがよいです
ダメなコンサルタント、自分と相性が合わないといった場合でも、その担当コンサルタントを別の担当に変えてもらうのは難しいかもしれません
そういう場合にも複数の転職エージェントを利用していれば、よいコンサルタントに出会える可能性が高まります
転職エージェントのお仕事を理解する
転職エージェント(ここでは人材紹介会社、担当コンサルタントという言い方も同じものと思ってください)のお客さんって誰なんですかね?
求人企業と求職者を仲介する仕事なので、両方がお客さんとも言えないことはないのですが、転職(採用)が決まったら、報酬は求人企業からいただくので、真の意味でのお客さんは求人企業なんですね
もちろん、求職者を大切にすることも、この人材紹介というビジネスにとっては大事なことです
が、ビジネスモデルが成功報酬なので、転職を決めないと商売としてやっていけません
この仕組み上、「売れる人材(それも年収が高く転職できるほうがよい)」にはあの手この手で、情報やサポートが提供される一方、「転職は厳しいかな」と判断されると、最低限の対応しかされなかったり、そもそも担当コンサルタントを付けてくれないこともあります。
あと、転職エージェント(コンサルタント)の仕事は、決めてナンボってやつです
成功報酬なので、転職を決めないといつまでたっても売上ゼロ
一方、成功報酬は年収の35%~40%程度が相場です
もし1000万円の年収の人を月2人転職させたら、350~400万円×2=700万円~800万円が月の実績です
月額課金で積み上げていけるようなサブスク型のビジネスモデルなんかとは全く違います
決めないとゼロですから
※経営幹部(エグゼクティブ)のヘッドハンティングでは、求人企業からリテーナーフィー(着手金、活動費)が支払われるケースがあり、それはヘッドハンティング会社の売上の一部になりますが、ここではその話を除きます
転職エージェント(担当コンサルタント)の質ってどうなのか?
これ、正直なところピンキリです
サービスの特性として質のばらつきがどうしても出てしまうんですね
経験がものをいうという側面もあるし、そのコンサルタントの情報収集とかコミュニケーションといった基本的な部分が足りないといったこともあるし、そもそも自分と相性が合う合わないといったこともあります
ですが、ワタシの場合は、幸いにも担当してくれたエージェントは総じて熱心で、よくしてくれました
求人票に書かれていない企業の内部情報とか、上司に当たる人はどういう人だとか、採用担当者が重視するポイントなんかを教えてくれるため、面接対策などに役立ちました
求人企業は、契約しているエージェント、こういう人材がほしいんだよね、といった相談をしたり、求人票を作って、それを送ったりします
“できる”コンサルタントは、「詳細を聞かせてください」と言って、ちゃんと面談を設定してくるんですね
そこで、募集の背景とか、配属部署の人員構成とか、上司はどんな人になるのかとか、いろいろと聞いてくるわけです。求人企業との契約がまだ浅い場合は、企業文化や社風といったものも確認します
求人ポジションがシニアマネジメント(経営幹部)になってくると、今期や中長期の会社方針や戦略、どんな役員がいるかとか、そういうこともいろいろと質問します
というのも、候補となる求職者に求人内容を説明するだけでなく、求職者から「〇〇についてはどんな感じですか?」などと聞かれたときに答えられるようにするためでもあります
一方で、求人内容について求人企業に深堀りして確認しないダメなコンサルタントっているんですよ
求人の詳細を確認してこないです
求人票を受け取るだけ。
まぁ求人票には必要事項は網羅されているので、それでも求職者を検索して仕事を紹介することはできます
ですが、追加の情報収集がない、あるいは浅いので、求職者に会社の事や求人内容をちょっと突っ込んで聞かれただけでも、「ごめんなさい、分からないです。確認します」となります
要は企業の求人ニーズを理解していないのです。よって、適切なマッチングが起こりにくくなり求職者、求人企業双方の満足度が低くなります。
転職エージェントはどこまで面倒を見てくれるのか?
現実をそのまま書くと、売れる人材なら手厚く面倒をみてくれます
逆に売れない、転職は難しいと判断されると、全く面倒を見てくれません
これは両極端のケースですが、ある程度紹介可能と判断されれば、見合った求人があった段階で求人紹介があり、書類選考や面接を突破できるようにサポートしてくれます
ただ、それぞれのコンサルタントは、一般的には相応の数のクライアント(求人企業)をかかえ、それぞれの求人に対して、複数の求職者(候補者)を探して、面接から内定、入社までお世話するわけなので諸々忙しいのです
自分一人だけに親身になって対応してくれるわけではないし、また、一般的には、一人一人の職務経歴書の手直し、添削もやってくれません
別に意地悪しているわけではなく、時間的にもそこまでのケアができないんです
一方、面接対策はしてくれる場合は結構あります
ですが、その特定の求人に対する面接対策というのは、担当コンサルタントが求人企業の情報をどれだけつかんでいるかによって、具体的な対策になる場合もあれば、対して役に立たない場合もあります
このような現実も理解していただくのがよいと思います
最後に
転職エージェントは求人企業と求職者の間に入って介在価値を発揮することが仕事です
なので、一定以上の質のコンサルタントに出会えれば、自分一人で動くより効率的かつ効果的に活動を進めることができるでしょう
一方で、転職エージェントは、転職決定数を積み上げることが目標なので、必ずしも求職者の中長期的なキャリアを最優先に考えているわけではないです
そのため、自分自身で求人企業の求めるものを見極める姿勢も大切です