はじめに
マーケティングの進化は、製品中心(マーケティング1.0)から顧客中心(マーケティング2.0)へと変遷し、その後価値主導のマーケティング(マーケティング3.0)へと発展しています。
フィリップ・コトラーが提唱したマーケティング3.0では、企業が単に商品を売るのではなく、社会的価値や理念を重視し、企業の存在意義を消費者と共有することが重要視されます
「企業は利益を追求するだけでなく、社会に貢献する存在であるべきだ」という考え方がマーケティングの中心に置かれる時代になりました
本記事では、マーケティング3.0の概念や背景、企業の成功事例について解説していきます
マーケティング3.0とは?
マーケティング3.0とは、単なる製品や顧客満足度の向上だけでなく、社会的な価値や企業の理念を基盤としたマーケティング戦略です
マーケティングの進化
マーケティングの段階 | 中心概念 | 企業の目的 | 代表的な企業の例 |
マーケティング1.0 | 製品中心 | より良い製品を作る | フォード(T型フォード) |
マーケティング2.0 | 顧客中心 | 顧客ニーズに応える | P&G(消費者インサイト分析) |
マーケティング3.0 | 価値中心 | 社会的課題を解決し、理念を共有する | パタゴニア(環境保護活動) |
3.0の3つの主要要素
マーケティング3.0の考え方は、以下の3つの要素を軸にしています
- 企業のミッションと価値観
- 企業が社会に対してどのような価値を提供し、どのような理念を持っているのかを明確にする
- 例:Googleの「情報を整理し、世界中の人々にアクセスしやすくする」というミッション
- 消費者の共感とエンゲージメント
- 消費者は、単なる「購入者」ではなく、企業の理念に共感し、ブランドと深く関わる存在である
- 例:Appleの「Think Different」キャンペーンに共感し、ブランドのファンになるユーザー
- 社会的責任(CSR)と持続可能性(SDGs)
- 企業は利益だけでなく、環境や社会への影響を考慮し、持続可能な経営を目指す
- 例:スターバックスがフェアトレードのコーヒー豆を採用
マーケティング3.0の背景と変化の理由
マーケティング3.0が登場した背景には、以下のような社会の変化があります
消費者の価値観の変化
- インターネットとSNSの発展により、消費者は企業の透明性や社会貢献活動に敏感になった
- 例:「環境に悪影響を与える企業の商品は買わない」という倫理的消費の増加
競争の激化と差別化の重要性
- 製品の品質や価格だけでは競争が難しくなり、企業の価値観やブランドストーリーが差別化のカギになった
- 例:ナイキが「スポーツを通じた社会変革」を訴え、ブランド価値を高めた
CSR・SDGsの普及
- 企業が社会的責任(CSR)を果たすことが、投資家や消費者にとっての評価基準になった
- 例:ユニリーバが「サステナビリティを事業の中核にする」戦略を採用
マーケティング3.0の成功事例
事例1:パタゴニア(環境保護を軸にしたマーケティング)
パタゴニアは、「地球を救う」というミッションのもと、環境保護を積極的に推進しています
- 中古品の再販売プログラム「Worn Wear」を導入し、製品の長寿命化を促進
- 収益の1%を環境保護団体に寄付する「1% for the Planet」活動を実施
事例2:スターバックス(倫理的消費を促進)
スターバックスは、フェアトレードのコーヒー豆を採用し、生産者を支援しています
- 環境に配慮した店舗設計や、使い捨てプラスチック削減の取り組み
- 「リユーザブルカップ」プログラムを展開し、持続可能な消費を推進
事例3:ナイキ(社会的メッセージを発信)
ナイキは、社会問題に積極的に関与するブランド戦略を展開しています
- 「Just Do It」キャンペーンで、多様性や社会正義を訴える広告を制作
- 環境負荷を低減するために、リサイクル素材を活用した製品を開発
マーケティング3.0を実践するためのポイント
企業がマーケティング3.0を成功させるためには、以下の3つのポイントが重要です
- 企業のミッションを明確にする
- 自社が社会にどんな価値を提供するのかを言語化する
- 例:「サステナビリティ」「多様性」「教育支援」などのテーマを掲げる
2. 消費者と共感を生むストーリーを作る
- 企業の活動や製品に、社会的意義を持たせる
- SNSや動画を活用し、ストーリーテリングを強化する
3. 持続可能なビジネスモデルを構築する
- CSR(企業の社会的責任)を積極的に推進する
- ESG(環境・社会・ガバナンス)を考慮した経営戦略を推進する
これらのポイントは、マーケティングの上位概念にあたるものなので、マーケティング部長や事業部長のような上位の立場でないと構築は難しいものと思います
しかし、こうした上位概念となる重要なポイントをおさえておくことは、将来責任ある立場に置かれたときの備えになるものと思います
まとめ
マーケティング3.0の時代では、企業は単に製品を売るだけでなく、社会的な価値を提供し、消費者と共感を共有することが求められるようになりました
現代のマーケティングにおいても、通ずるところだと思います
次回は、デジタル時代のマーケティング4.0について解説します
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